微分と増分
大学時代、導関数と微分の違いをあまり理解できておらず、微分は導関数の分子の部分?のようなイメージで、微分の使いどころもよく分かっていませんでした。
改めて最近勉強し直してみると、そもそも「微分」と「増分」の違いを理解していなかったことが分かりました。
微分が分かると、関数の近似の評価や、多変数関数における合成関数の微分法則の導出過程が理解できるようになりました。
増分
関数 に対して、独立変数 の増分を とおくと、従属変数 の増分 は、 $$ \Delta y = f(x+\Delta x) - f(x) $$ である。
とまあ当たり前のことかもしれません。
微分
関数 に対して、 の微分 と、 の微分 はそれぞれ以下のように定義される。 $$ \begin{align} dx &= \Delta x \\ dy &= f'(x)dx \end{align} $$ つまり、独立変数 の微分は増分に一致し、従属変数 の微分は導関数 と の微分 の積と定義されます。
増分と微分の違いは下図のように図にすると分かりやすいです。
下図の点Q と点R の位置関係から増分 と微分 が一般に異なることが分かります。
微分の応用例:近似の評価
微分の応用例として関数の近似値の導出が挙げられます。参考文献に書かれていました単振り子の例を紹介します。
例
単振り子の周期 は、ひもの長さを 、重力加速度を として、 で与えられる。ひもの長さが2%変化したとき、周期は近似的にどれだけ変わるか?
解
周期の変化の近似値を とする。 $$ dT=2\pi \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{\sqrt{gl}} dl=\frac{1}{2}T\frac{dl}{l} $$ と計算されるので、 とすると、 となるので、周期は近似的に1%変化する。
参考文献
- 作者: 和達三樹
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1988/11/08
- メディア: 単行本
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基本的にこの本を見て勉強しています。全般的に丁寧に説明されており分かりやすいです。大学時代にこの本の存在を知りたかった。。。